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製造業が人手不足に陥るのはなぜ?原因や与える影響、解決策を解説

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製造業が人手不足に陥るのはなぜ?原因や与える影響、解決策を解説

製造業は近年人手不足の課題が深刻化しており、自社においても人手不足の課題に対し、原因や解決策を知りたいと考えている担当者も多いでしょう

本記事では、製造業の人手不足の現状から発生する原因や、具体的な解決策を解説します。

製造業の人手不足

1.製造業の人手不足の実態・現状

製造業において、人手不足はもはや看過できない経営課題となっています。まずは統計データに基づき、製造業が直面する人手不足の実態を把握しましょう。

1−1.製造業の就業者数は減少傾向にある

製造業の就業者数は長期的に減少しており、若年層の担い手不足が深刻な課題です。経済産業省のものづくり白書によれば、製造業の就業者数は2002〜2023年の20年間で約150万人近く減少している事実が分かっています。

就業者数の推移

出典:[経済産業省 / 2024年版 ものづくり白書]

また、34歳以下の若年就業者数の減少と高齢就業者数の増加も顕著です。同資料において、34歳以下の就業者数は減少する一方で、65歳以上の就業者は増加しており、現場の高齢化が進んでいます。

若年就業者(34歳以下)数の推移
高齢就業者(65歳以下)数の推移

出典:[経済産業省 / 2024年版 ものづくり白書]

データが示す通り、製造業の就業者数は減少傾向にあるため、企業側での人材確保は急務の課題といえます。

1−2.製造業の有効求人倍率は1.50倍

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和7年7月分)」によると、製造業における有効求人倍率(※生産工程従事者 )は1.50倍に達していることが分かりました。

一方で、新規求人数は減少傾向にあります。東京商工リサーチの「価格転嫁に関するアンケート」の結果から、求人数減少には次のような背景があります。

  1. 原材料費やエネルギー価格および人件費が増加
  2. 取引への影響懸念などの理由で価格転嫁ができない
  3. 価格転嫁失敗による増加したコストを企業側が吸収
  4. 賃上げや採用活動に関わるリソースが捻出できなくなる

上記の流れから「人材は確保したいが、採用に踏み切れない」という、製造業の厳しいジレンマが伺い知れます。

出典:[厚生労働省 / 一般職業紹介状況(令和7年7月分)について]

出典:[東京商工リサーチ / 「価格転嫁に関するアンケート」調査 ]

1−3.指導者不足も深刻な課題の一つ

ものづくり白書では、6割以上の事業所が「指導する人材が不足している」と回答しており、技術継承の仕組み自体が揺らいでいる実態が浮き彫りになりました。

製造業における能力開発や人材育成に関する問題点の内訳

出典:[経済産業省 / 2024年版 ものづくり白書]

指導者不足の背景には、次のような要因が絡み合っています。

  • 技術の継承先である若手人材の減少
  • 熟練技能者の定年退職
  • 計画的な教育体制の未整備

これまでの「見て覚える」OJT中心の教育では、人材の流動化が進む現代において育成が追いついていないのが現状です。

1−4.グローバル人材の需要の高まり

経済産業省の「製造業を巡る現状と課題」によると、日本の製造業における国内売り上げ高は過去25年間ほぼ横ばいで推移しており、多くの企業が成長の活路を海外市場に求めています。

製造業売上高

出典:[ 経済産業省 / 製造業を巡る現状と課題 ]

実際に、国内製造業トップ500社の海外売り上げ比率は2013年を境に増加傾向にあり、海外事業の重要性はますます高まっています。

日米欧製造業主要500社の海外売上比率

出典元:[ 経済産業省 / 製造業を巡る現状と課題 ]

海外の事業展開を成功させるためには、海外拠点のマネジメントや顧客開拓を担えるグローバル人材が不可欠です。しかし、語学力や異文化への理解力の他、高度な専門知識を兼ね備えた人材は希少で、獲得競争も激化しています。

いかにして希少人材を確保・育成するかが、今後の企業成長を左右する重要な課題といえるでしょう。

まとめ

製造業の人手不足は、若年層を中心とした就業者数の減少という形で顕在化しています。高い有効求人倍率にもかかわらず採用活動は難航しており、現場では技術を伝える指導者不足も深刻です。さらに、企業の成長戦略として海外展開が進む中、グローバル人材の確保も喫緊の課題となっています。

人手不足の原因

2.製造業が人手不足に陥る主な原因

製造業が人手不足に陥る主な原因

製造業の人手不足は、単一の理由で起きている訳ではありません。ここからは、人手不足の背景となる3つの原因を解説します。

2−1.日本の少子高齢化による労働力人口の減少

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」では、働き手の中心となる生産年齢人口(15~64歳)が1995年に記録した8,716万人をピークに減少を続けており、今後もこの傾向が加速すると予測されています。

製造業界では、地方に工場や事業所を構える企業も少なくありません。都市部への人口流出も相まって、若手人材の確保がより一層困難な状況になると考えられるでしょう。

いかにして事業に必要な人材を確保し、生産体制を維持していくかは、一企業の努力だけでは解決が難しい、構造的な課題といえます。

出典:[ 内閣府 / 令和4年版高齢社会白書 ]

2−2.3Kが持つマイナスイメージの影響

製造業への3K(きつい・汚い・危険)という先入観は、若い世代の求職者が製造業界を敬遠する要因のひとつといえるでしょう。

近年の製造現場では、5S活動の徹底や自動化設備の導入により、クリーンで安全な労働環境が整備されつつあります。しかし、労働環境の改善努力などが十分にアピールできていない企業も少なくありません。

企業側は、3Kのイメージを払拭するために、WebサイトやSNSなどを活用し、積極的に情報発信する取り組みが求められています。

2−3.技術伝承のハードルの高さ

かつては、ベテランから若手へと長い年月をかけて技術が受け継がれてきました。しかし、近年の人材不足の影響を受けて、技術の継承先である若手が現場に定着しづらい状況が続いており、技術伝承自体のハードルが上がっています。

また、従来の「見て覚える」といったOJT中心の教育では、育成に時間がかかり過ぎるため、現代のスピード感には対応しきれない現状もあります。

今後は、伝承先となる人材をベテランが在籍中に確保する取り組みや、動画や電子マニュアルを活用した教育方法の改善などの対策がより重要となるでしょう。

まとめ

製造業の人手不足は、社会全体の労働力人口減少という要因が根底にあります。併せて、3Kに関するマイナスイメージが若者離れを加速させ、結果として企業の生命線である技術の伝承が困難になるという、複合的な原因によって深刻化しているのです。

人手不足の影響

3.製造業の人手不足による影響

製造業の人手不足による影響

人手不足は「働き手が足りない」という問題にとどまらず、企業の経営活動全体に多岐にわたる深刻な影響を及ぼします。

3−1.生産性の低下

現場の人員が減少すれば、一人当たりの業務負荷が増大し、生産スピードの遅延や作業効率の低下といった品質管理への悪影響は避けられません。十分な人員を割けなくなることで、不良品の発生率が高まり、製品の品質低下を招く可能性も高まるでしょう。

品質の低下や納期遅延が続けば、顧客からの信頼は失われ、顧客満足度の低下にもつながります。最悪の場合、取引の縮小や停止、競合他社への顧客流出といった事態に発展する恐れもあります。

3−2.既存社員への負担増加

人手不足は、現場で働く既存社員にとっても大きな負担となります。本来、複数人で分担すべき業務を基準未満の人員で担うため、業務量が増えるだけでなく、各々の責任範囲も拡大します。

また、経験豊富なベテラン社員が、補助的な作業に時間を取られ、本来の業務に集中できなくなるケースも少なくありません。

人手不足の慢性化は、やがて人材の離職を招きさらなる人手不足を引き起こすという、悪循環に陥る危険性が高くなってしまうのです。

3−3.倒産の可能性

生産性の低下によって競争力を失い、顧客が離れれば企業の収益は悪化します。利益が確保できなければ、設備の更新や人件費の捻出も困難となり、最終的には倒産の恐れさえ出てきます。

また、帳簿上は黒字であっても、人手が足りないために製品を生産・納品できず、資金繰りが悪化して倒産に至る「黒字倒産」のリスクも看過できません。

企業側は将来的に人手不足となる可能性を鑑み、技術継承ができる時点で人材を確保する必要があります。

まとめ

製造業の人手不足は、生産性の低下を招き、企業の競争力を直接的に損ないます。同時に、既存社員への過度な負担が離職を誘発し、さらなる人手不足を生む悪循環に陥りがちです。この状況が続けば、生産体制の維持が困難となり、最悪の場合、倒産に至るリスクも現実のものとなります。

人手不足の解決策

4.製造業における人手不足の解決策

製造業における人手不足の解決策

製造業の人手不足に対応するためには、多角的な視点をもって課題対応に応じる姿勢が不可欠です。ここからは人材を確保し、定着させるための解決策を解説します。

4−1.適切な教育体制の整備

人手不足の時代においては、新しい人材をいかに効率よく育成し、戦力とするかが重要です。しかし、OJTでは育成に時間がかかり、教育担当者にも大きな負担がかかるため、次のような体系的で効率の良い教育体制の構築が必要です。

  • 動画などを活用した業務マニュアルのデジタル化
  • 多能工(複数の工程や業務をこなせる人材)の育成
  • オンライン学習などeラーニングの導入

上記の取り組みにより、指導者の負担を軽減しつつ、教育の質と習得スピードの向上が可能です。

4−2.採用活動の強化

労働人口そのものが減少している現代において、従来と同じ採用ターゲットや手法に固執していては、人材確保はさらに難しくなるでしょう。そのため、次のような多様な人材が活躍できる門戸を開く工夫が不可欠です。

  • シニア人材
  • 女性人材
  • 外国人材
  • 人材派遣や業務委託

併せて、多様な人材が働きやすい環境や制度を整備することにより、多様な働き方に対応した組織づくりも可能です。

4−3.労働環境の改善

若手人材にとって魅力的で、長く働きたいと思える職場環境の構築は、人手不足解消に必須の取り組みです。

製造業に根付く「3K」のイメージを払拭するための改善が求められます。その基本となるのが、職場を常に安全で清潔な状態に保つ「5S」の徹底であり、詳細は次の通りです。

  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔
  • しつけ

また、長時間労働の是正も、働き方改革の観点からも急務といえます。ITツールを活用した業務効率化や生産計画の見直しにより、残業時間の削減に取り組みましょう。

そして、労働環境改善の取り組みや、自社の魅力を、企業のWebサイトやSNSなどを通じて外部へ発信する取り組みが重要です。

まとめ

製造業の人手不足を解消するためには、まず教育体制を見直し、効率よく人材を育成することが重要です。次に、採用ターゲットを女性やシニア、外国人材へと広げ、多様な働き方に対応します。さらに、5Sの徹底や長時間労働の是正といった労働環境の改善を進め、自社の魅力を積極的に発信する取り組みが必要です。

製造業DXと実現のメリット

5.製造業における人手不足の解消はDX化の推進も鍵

製造業における人手不足の解消はDX化の推進も鍵

人手不足という構造的な課題を解決するためには、従来の発想にとらわれない抜本的な改革が求められます。その鍵を握るのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。

5−1.製造業DXとは

製造業におけるDXとは、IoTやAI、クラウドといったデジタル技術を駆使して、製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、新たな価値を創出する取り組みです。

紙の情報をデジタルデータに置き換えるだけでなく、データを活用して生産プロセス全体の最適化や、顧客に新たな体験を提供することが主な目的です。

多くの企業がその重要性を認識しており、IPA(情報処理推進機構)の「DX動向 2024」によれば、DXに取り組んでいる製造業の割合は77.0%に達しています。DXが人手不足を始めとする経営課題を解決するための手段として期待されている事実の表れといえるでしょう。

出典:[ IPA / DX動向 2024 ]

5−2.製造業DXを推進するメリット

製造業でDXを推進するメリットは、人手不足を補いながら生産性を向上させられる点にあります。

例えば、従来は人間の目に頼っていた製品検査をAI搭載の画像認識システムに代替すれば、24時間365日、高い精度で検品作業を自動化できます。

また、設備保全業務の効率化もDXがもたらす大きなメリットです。これまで紙の帳票で行っていた点検作業をスマホやタブレットで完結させ、設備管理をクラウド化すれば、点検記録の転記ミスや報告の遅れを防げます。 

蓄積されたデータに基づく計画的な予防保全により、突然のライン停止といった大きな損失を防ぐことも可能です。

DXは限られた人的リソースを最大限に活用し、人手不足の状況下でも事業を成長させるための強力なエンジンとなりえます。

AI・IoTで進化するCBMとは?状態基準保全の最新トレンドと始め方を解説

まとめ

製造業の人手不足解消の鍵となるDXは、デジタル技術を用いて業務プロセスやビジネスモデルを変革する取り組みです。77.0%の製造業が既に着手しており、その推進によって作業の自動化や業務効率化が実現します。結果として、限られた人材でも高い生産性を維持できる体制を構築し、人手不足という深刻な経営課題の解決に大きく貢献します。

製造業の人手不足のまとめ

6.適切な対策で製造業の人手不足を解消しよう!

適切な対策で製造業の人手不足を解消

製造業が直面する人手不足は、少子高齢化や業界イメージ、技術伝承の難しさなど、複数の要因が絡み合う根深い問題です。しかし、自社の課題を正確に認識し、適切な対策を講じることにより乗り越えられます。

製造業の人手不足対策のポイント

・教育体制の整備:eラーニングなどを導入し教育担当者の負担削減を実現する

・採用活動の強化:シニア人材や女性人材などにもアプローチし、採用の間口を広げる

・労働環境の改善:「3K」のイメージを払拭するために、5Sの徹底や残業時間の削減を図る

・DXの推進:IoTやAIなどのデジタル技術を活用し業務プロセスの効率化を図る

自社の状況に合わせた対策を実施し、粘り強く実行していく取り組みこそ、人手不足の解消と持続可能な企業成長を実現するための鍵となります。

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藤田 ユウキ(ふじた ゆうき)

著者

藤田 ユウキ(ふじた ゆうき)

BtoB・製造業ジャンルを中心に活動する専業Webライター。 光センサやEMS(電子機器受託製造)など、高度な専門知識が求められる技術分野での執筆実績が豊富。徹底したリサーチとSEOの知見に基づき、難解になりがちな製品や技術を、導入検討層に向けてわかりやすい解説が強み。単なる用語解説にとどまらず、企業の課題解決と意思決定を後押しする情報発信を心がけている。